幸福であると感じている中高生90%!

先回は、若者の満足感について書いたが、今回は中高生にスポットをあてて、彼らがどのような価値観を持っているのかを検討したい。NHKは2012年の夏に、全国の中高生と親を対象にした「中学生と高校生の生活と意識調査」を実施しており、その結果から中高生の価値観を捉えたいと思う。

まず、中高生の幸福感についてである。「今、幸せと思うか?」という質問に対して9割強が、幸福であると回答している。

 

幸福感 「今、幸せと思うか?」12

NHK「中学生と高校生の生活と意識調査」2012年

 

高校生の97%、中学生の94%が幸福であると感じている。NHKはこの調査を過去4回行っているが、中高生の幸福感は年々高くなっているようである。以下のデータは、過去4回の「幸せである」と回答した中高生の割合の変遷である。

 

「幸せである」と回答した中高生の割合の変遷

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NHK「中学生と高校生の生活と意識調査」2012年

中高生ともに、年々、幸せであるという回答が年々増加している。これは若者(20~29歳)における生活の満足感の統計と同じである。

 

幸福感の違い

年々、若い世代の幸福感は上昇しているのだが、違和感はぬぐえない。若者(20~29歳)における生活の満足感においては、将来を悲観して、これから良い時代になると期待していないことが、「今、ここでの満足感」という回答につながったと考えられている。これと同じことが、中高生の幸福感についてもあてはまるのではないだろうか?

NHKでは、中高生の「理想の生き方と、社会への関心」を調査する質問も行っている。中高生が望ましいという生き方を、①「その日、その日を、自由に楽しく生きる」、②「身近な人たちと、なごやかな毎日を送る」、③「しっかりとした計画を立てて、豊かな生活を築く」、④「みんなと力を合わせて、世の中を良くする」の4つの選択肢から選ばせている。

①②は今の生活を重視する「現在中心の考え方」、③④は将来の結果に重きを置く「未来重視」の考え方である。

 

生活目標(中高生)

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NHK「中学生と高校生の生活と意識調査」2012年

 

中学生、高校生ともに、①「その日、その日を、自由に楽しく生きる」、②「身近な人たちと、なごやかな毎日を送る」という、現在中心の考え方が8割以上を占めている。これは若者(20~29歳)の統計においても明らかであった、若者のコンサマトリー化と共通している現象である。つまり、中高生においても、今の状態に満足していおり、それが満足度というか幸福度に反映されているのである。

この未来志向よりも、現在中心の幸福度は、留学に対する考え方にも反映されている。

 

留学したいと思うか?(中高生)

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NHK「中学生と高校生の生活と意識調査」2012年

若者の内向き志向が言われるが、やはり中高生においても7割強が「留学したくない」という回答をする結果となった。やはり、ここでも若い世代に対するコンサマトリー化が影響していて、現在に満足している事や、留学により友達と離れる事が嫌だという理由で、留学には関心を示さないのかもしれない。

現状としては、弊社は、中高生に対する留学事業は行っていないが、中高生への留学を専門に扱う業者、あるいは中高校へのアプローチを始める必要があるかもしれない。こうして留学人口の分母を拡大し、中高生への留学に対する関心も引き上げるための試みを、行ってゆく必要があるかもしれない。

 

コンサマトリーな若者たち

橋元良明が行った調査では「世間のできごとより、自分の身の回りのできごとに関心がある」と答えた10代、20代の若者比率がが圧倒的であったという結果を公表している。(東京大学:調査研究) このように若者の関心の範囲は、自分とその周辺に限られている。

CMからもその点を検証してみたい。

へーベルハウスのCMである。歌詞の「願い事は、うーん、特に無くて、これって幸せ」という部分がある。願い事がない=幸せな家族、という図式が成立しているのである。こうした傾向も、自分と家族や親しい人の幸せな生活が幸福に直結している、若者世代の感じ方を表現しているように思われる。

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こんなのが貼ってあったなぁ

もしも、世界に目を向けるならば、貧困、内戦、犯罪、飢餓で困難な状況におかれている人々は多い。しかし、そうした人々の事まで目をむける視野が、コンサマトリー化した世代には欠けている。それは目を背けるというのではなく、身の回りにしか関心がないために、視界に入らないという方が正しいのだろう。
昔、あちらこちらに「世界人類が平和でありますように」という張り紙が貼ってあった。我々が、世界に対して平和のために何かできるかどうかはともかく、こうした視点は、現代の若者世代には、視点が大きすぎて、逆に実感できないものになっているのかもしれない。

 

若者のインターネット利用のおけるコンサマトリー化

現代ではインターネットが普及し、世界中の情報が簡単に手に入るようになったし、世界中の人々と簡単に連絡取れるようにもなっている。若者世代の自宅にいる時間のネットの利用は、どの世代よりもながく9.8%の時間を費やしているが、そうしたインターネットのグローバルな効用は、今後、若者の価値観を変える力があるのだろうか?

自宅で費やす活動の割合

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東京大学:調査研究

確かに若者層のインターネット利用時間は長い。ネットの利用者の時間内訳をみると、ソーシャルメディアユーザーのネット利用率は、通常のインターネット利用者のネット利用率よりも2倍ほど長くという結果もある。つまり若者のインターネットユーザーの多くは、例えばFacebookやtwitterのようなソーシャルメディアに時間を費やしており、インターネットで知識を広げたり、世界の状況を調べるというよりは、仲間内のコミュニティでのやり取りや、日常生活の出来事をシェアし合うような小さなコミュニティ活動に費やされている。ということはやはり、世界的なインターネットというツールがあっても、その利用の仕方と、範囲は、限定された仲間内でのコンサマトリーなものになっているのではないだろうか。

こうしたコンサマトリー化した、若者のコミュニティの視野を広げるために、何らかの手を打つ事が、我々のビジネスには求められる。(若者は、そんなことをしてくれなくても十分幸福なので何の問題も無いと思うだろうが…)

 

留学の活性化に何ができるか!

それを検討するに際し、旅行に関する統計はヒントになるかもしれない。東洋経済の統計によると、「若者の旅離れ」が懸念されているが実際には若者の8割は旅行好きである事。または、友人と旅行に行ったという層が42%あり、友人となら、あるいは友人に誘われたならば旅行に行きたいという意見が多くみられる。

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東洋経済

こうした若者の友人とのつながりを重視する傾向を踏まえて、例えば、留学においても、短期の語学留学で友人と参加できるようなプログラムの提供や、あるいは大学の海外留学研修プログラムをより魅力的で参加しやすいものとすることで、若者のコミュニティそのものから獲得できるような方法を考える必要があるかもしれない。
また各大学参加の団体留学後には、留学先で互いに知り合った若者同士が、同窓会的にコミュニティ化する傾向があるが、そうした留学経験者による声を、これから参加を検討する、あるいは留学に関心がない若者に伝えられるような「場」あるいはコミュニティを作ってゆくことも有効な手段となるだろう。

留学に若者が行かなくなったことを懸念して、政府が助成金等の支援を行っている。しかし、根本的な部分で留学に対する関心を失っているために、若者に対しては、単にお金のサポートだけでなく、若者のマインドや、価値観を刺激するような仕掛けを提供することがより必要なのではないかと私は考えている。

出典
NHK 中学生と高校生の生活と意識調査 2012年
東京大学:調査研究

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