世界から「仕事」が消えてゆく

世界から「仕事」が消えてゆく。

COURRiER Japon (クーリエ ジャポン) 2013年 01月号 [雑誌]先日発売されたCOURRIER JAPONのタイトルである。その中では、なぜ仕事は消えてゆくのかをいくつかのパートに分けて説明している。そこで紹介されていたマッキンゼー・グローバル研究所の最新レポート「求む従業員:先進国経済の仕事の未来」の5つのトピックを取り上げ、仕事の未来について考察してみたい。

まず、マッキンゼーのレポートでは以下の5つの理由で、「必要とされない人が増えてゆく」こと、さらには仕事の未来にどのような変化があるかについて説明してある。

 

①テクノロジーが仕事の質を変える

工場の組み立てラインはロボットに取って代わられ、銀行の窓口もATMとなった。これから求められる仕事は、複雑な問題解決、経験、状況に関わるやりとりを行う弁護士、あるいは看護師、介護士のような対面で行う仕事である。つまり「相対的な対応が求めれる職」こそがこれから必要とされる分野である事を指摘している。
実際に、製造業の現場においてはロボットが稼働し24時間体制で生産を続け、しかも待遇改善を求めてストを起こすこともない。今後はこうしたロボットに、生産現場における職が奪われて行くのは明らかである。こうなると将来の我々はロボットとの差別化を意識して、ロボットでは出来ない仕事を意識して将来の仕事の選択を行う必要があるかもしれない。実際、下の統計を見ると「相対的な対応が求めれる職」に対する需要は増えているが、テクノロジーに取って代わられる仕事は減少しているのがわかるだろう。

アメリカにおける雇用者数の変化(2001-2009)11

 

②スキルのミスマッチが拡大

高度な教育を受けた能力の高い人と、あまり教育を受けていない人では、将来の格差は広がる一方である。これから新たに創出される雇用は、上記の①でも示されているように専門的であるゆえに、高い能力と教育が求められる人材となる。
需要のある仕事は専門的な仕事や能力を要する仕事であり、実際にこうした仕事には人材が足りていない。しかしながら、それとは反対に、さほど能力を必要としない仕事においては、人材がダブついており求職者数は年々増加しているのである。つまりこうした人材の需要と供給のバランスのミスマッチにより、能力の低い求職者が増え続け、能力の高い人のを求める企業の求人枠は埋まらないと状況が生じるのである。

リンダ・グラットン(著)ワークシフトにおいて、マイナスにはたらく未来ストーリーとして、アメリカのオハイオ州に暮らす28歳のブリアナ、ベルギー南部で暮らすアンドレというアルバイトで生活している若者の例を挙げている。彼らはいづれもグローバルな人材市場に加われず、先進国の住人でありながらグローバル下層階級の一員となっている。まさにグローバルな人材市場においては、こうした現象がみられるようになってきているのである。

 

③地理的ミスマッチの拡大

求められる人材が企業が雇いたい地域では供給不足の場合が多く、地域によって失業率が凸凹している。そして、仕事を求めるために別の土地へ行こうとする人が少ない事も問題とされている。アメリカでも、かつて国土を開拓したフロンティアスピリットは失われてしまってたのか、労働年齢の世代は、彼らの親や祖父の世代のように仕事を求めて土地を移るということをしないという問題を抱えている。
同様に日本でもこうした内向きな問題が存在している。若い世代の海外志向は低く、海外赴任を避ける傾向にある。さらに東京を含む大都市には人々が集中する傾向にあるが、そこを離れて他の都市に移ってゆくという傾向もあまり見られない。

今後は、仕事を求めて環境を変化することをいとわない姿勢、あるいは適応能力も重要な資質として求められるっようになるだろう。また企業側はバーチャルな労働環境を整備して、居住地を問わずに雇用を生み出せるならば、より有用な人材を確保することが可能になると考えられる。

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④活用しきれない人材の増加

世界的な傾向として若者と女性、定年間近の年齢層の就労率が落ち込んでいる。例えばスペインでは48.7%の若者が職に就いていないと報告されている。こうした職に就けない若者は、将来に渡り不利益を被ることになるだろう。例えば彼らにはキャリア形成の機会が減るために、将来に渡って収入は生活水準に追いつく事が難しくなり、さらには将来に公的援助の厄介になる可能性さえある。

また、高齢化社会により、熟練人材不足が世界的に深刻化している。日本においても団塊の世代の退職、あるいは少子化傾向によりに労働人口は減少傾向にある。こうした問題を解消するためには、熟練した労働者の雇用年齢を引き上げる事で対応することが検討されている。年配の労働者を退職させて年金で養うばかりではなく、彼らの就労率を引き上げる事ができれば、成長と生産性向上の牽引役となるという訳である。

高齢者の労働市場への参入は、今後の流れとして世界的にみられる傾向となるようである。例えば先述したリンダ・グラットン(著)ワークシフトにおいても、今後、管理職者がバリバリ働く70代の部下を持つというような未来予想図を提示している。定年制の引き上げと、仕事を続けることによる生きがいやワークバランスの調整により、現実的なビジョンとして日本の労働市場においても、こうした現象が将来は普通に見られるようになるかもしれない。

 

⑤収入の格差は拡大する

ここ10年の世帯所得にも変化が見られるようになった。単身世帯が増加しているがそれが世帯所得の伸びを抑えている。一方で、高所得者は高所得者同士で結婚する傾向が増え、所得格差に拍車がかかるようになっている。

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表にあるように世帯所得が最も少ない層(グレイの部分)の国はここ10年ほど、ほとんど収入が増加していない。日本に関して言えば世帯所得が多い層には属しているが、10年間の世帯収入の増加率は0.25%しか増加していない。

日本でも格差社会が問われている。実際2極化が進むことにより、収入の増加する層がある一方で、それ以上の収入が増加しない、あるいはワーキングプアのような層が増加し、全体として日本の所得収入の増加率が伸び悩んでいるように思われる。確かに世界で見られる潮流と同様に、グローバル化とテクノロジーが高度なスキルを持つ労働者の需要を増やし、彼らの賃金を底上げする一方で、スキルの低い労働者の需要を減らしているというのが現状のようである。

 

仕事は本当に消えているのか?

仕事が消えているのは確かである。
しかし、それは従来的からあったが機械や低賃金労働者で代替えが利くような仕事が消えているのであって、仕事が消えてゆく反面、新 しい仕事も創出されており、そうした分野にいては労働者の需要が高いことは忘れてはならない。旧来の仕事のスタイルや、職種のみにしがみつき変化を受け入れようとしないのであれば、あなたの仕事は失われることになるかもしれない。グローバル化にともない、最も仕事がなくなるのは中間層の仕事であると言われている。つまり従来、価値ある仕事とされてきた仕事は、社会の変化に伴い変わりつつあるのである。それに沿って我々はコモディティ化された人材ではなく、代替えの利かない誰か(プロフェッショナル)になるように変わらなければならない。

マッキンゼーのレポートを検討すると「仕事が消える」という理由として、急速に進むグローバル化とテクノロジーの進化があると考えられる。こうしたビジネス環境や必要人材の変化に対応することが今後のキャリアや、仕事のスタイルにおいて求められるに違いない。また個人においては、自分のスキルを上げることも重要である。つまり教育、あるいは自己投資を行い、絶えず専門的知識を身に着けるように努力することで、あらゆる仕事における環境の変化に自分を合わせることが必要なのである。

かつて日本の企業は、社員に様々な部署を経験することでジェネラリストを養成することに重きを置いてきた。しかしながら、グローバル化に伴う変化により、ジェネラリストよりはむしろプロフェッショナルな専門性の高い人材となることが求められるようになっている。

海外赴任を含めて仕事の場所をいとわなかったり、積極的で対応力が求められるコミュニケーション能力がある人は、仕事が消えてゆくとされる現在でも高い需要がある。先の記事でも述べたが、そういう人材はいわゆるグローバル人材とされるような人物像に正に合致する。

弊社ではそうしたグローバル人材として成長するための学びと、プロフェッショナルで専門性の高い人材としてステップアップするための教育・留学サービスを顧客に提供できることを願っている。そのために我々の顧客に対しては、将来的なビジョンを持っての学びの方向性のアドバイスすることもビジネスの重要なファクターであることを重要視し、学びと仕事の相関性の高い情報を吸収し、それを提供することを積極的に進めて行きたいと考えている。

参考文献
McKinsey Global Institute  -  Help wanted: The future of work in advanced economies 2012 March

Comments
  1. 464日 ago

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