外国人との雇用競争が始まる

グローバル化により、欧米諸国において最も深刻化してきたのは雇用の問題である。こうした問題は自国民の雇用が、賃金の安い外国人の流入により脅かされるようになる事で、失業率が上昇したり、外国人廃絶運動が起こったりというように問題が表面化するようである。

日本においてもグローバル化が進行しているが、雇用の問題が諸先進国と比べて取り沙汰されることが少ないように思われる。その理由として、数年前までは日本のビジネス市場は外国人を雇用することに否定的であったし、今でも企業によっては、それを好まない傾向にあるからかもしれない。企業によっては、外国人を雇用しても日本の企業文化になじまないとか、言葉の問題によりコミュニケーションが取れないのではないかという懸念が外国人を雇用しない主な理由となっている。こうした企業はまだ多く、その為か、日本においては外国人が雇用を脅かしているというような問題は、社会問題にまで発展していない。

しかし、グローバル化や、海外企業との競争、コスト削減、少子化という問題に対して経営判断が求められるようになった場合、企業は、今までのような姿勢でビジネスを行い続ける事が難しくなるだろう。

今回は、日本における外国人雇用のデータを見ながら、実際に外国人雇用の進展により、日本人の雇用がどのように変化する可能性があるかを検証してみたい。

 

外国人労働者の推移

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グラフを見ると、年々外国人労働者が増加していることが分かる。2013年10月の時点の厚生省の統計によると、外国人労働者を雇用している事業所数は119,731か所、外国人労働者数は682,450人であると発表されている。年々増加して来たのであるが、2011年をピークに若干ではあるが減少傾向にある。この理由は、2011年に東日本大震災があったことや、日本国内における製造業の不振が原因として考えられる。グラフをよく見ると、減少しているのは派遣・請負の部分で、間接・正規雇用の外国人労働者はコンスタントに増加しているのである。

以前は、製造業分野で多くの外国人が働いていたのだが、近年は製造業以外の分野、サービス業等の分野においても多くの外国人が雇用されるようになっている。また外国人労働者人口だけでなく、外国人を雇用する事業所数も年々増加している。これは外国人雇用が多くの業種に拡大していることや、大きな企業だけでなく中小企業にまで、外国人雇用が一般的になってきていることの現れであると考えられる。

ではどのような外国人が日本で働いているのだろうか? 次に国籍別内訳から統計を分析してみたい。

 

国籍別外国人労働者の割合

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国籍別にみると、中国(香港等を含む。以下同じ。)が外国人労働者数全体の43.3%を占め、次いで、ブラジルが17.0%、フィリピンが10.2%となっている。アジアの外国人労働者が全体の半分以上を占めているが、G8+オーストラリア、ニュージーランドで7.3%、50321人が働いている点にも注目したい。

外国人労働者はどのような業種に従事しているのかを次のデータから見てみたい。

 

産業別外国人労働者数

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265.330人と製造業に従事する外国人が最も多い。しかし、以前は限定的であったと思われる製造業以外の教育業、サービス業、流通業等、多くの分野でまんべんなく外国人が就労しているのも特徴として見逃せないだろう。

実際、どのような業種で、どのような国籍の外国人が働いているのかにも関心があったのでデータを図表化してみた。

 

 国籍別の製造業従事者比率

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実際の製造業従事者の人数は、中国:107.888人、ブラジル:58.347人、フィリピン:34.615人、ベトナム:16.545人という人数構成である。つまりベトナム、ブラジル人の多くは製造業で働いていると考えられる。しかし一番の製造業従事者のいる中国人は36.4%の労働者なっている。これは中国人国籍の労働者の業者が多様化し、様々なビジネス分野に進出してきていることの現れである。中国人は、すでに賃金の安いだけの労働者とは言えなくなっているのではないか。

 

国籍別の教育・学習支援業 従事者比率

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教育・学習支援業においては、先進国の労働者がずば抜けて多いのが分かる。国籍別での教育従事者割合を見ると、アメリカ人:47.8%、イギリス人:51.4%と、特に英語圏において高い労働者がいることが分かる。実際、英語・英会話教育における需要が日本にはあるので、講師としての教育従事者が多いのである。これはグローバル化により、日本での英語需要が高くなっていることを裏付けるデータになっているとも言えるであろう。

 

都道府県別 外国人労働者数

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やはり東京での外国人就労者が76.978人とダントツに多い。
次に多いのが愛知県の80.712人、さらに神奈川県の39.985人、静岡県の36.743人と続く。この内訳は自動車等の製造産業が盛んな地域であるがゆえに製造業に従事している外国人(ブラジル人、アジア系人材)が多く働いていると推測できる。

 

外国人労働者の今後の雇用進展

外国人労働者数は増加傾向にある。今までは製造業を中心に雇用されているが、今後は製造業以外の業種においても、より多くの外国人人材の雇用が進むものと思われる。また地域は東京や大阪といった大都市を除いては、愛知や静岡といった製造業の中心地において外国人雇用は進んでいるが、業種の広がりとともに、例えば介護やコンビニ等サービス業においても需要があるであろうから、多くの地域で働く外国人も増加するものと考えられる。

他にも注目したい点としては、2012年からの製造業に従事する外国人の減少である。統計では技術系が減少しているのに対し、人文・国際業務に従事する外国人労働者は増加している。日本における製造業の不振が、技術系労働者の減少につながったのであるが、その代わりに様々な一般業務において外国人労働者は増加しつつある。

製造業は、コストダウンのために大企業は海外に工場を移転しており、日本人の労働者にとっては厳しい雇用状況になってゆくと予想される。国内においても、これからは賃金の安い外国人労働者と労働を奪い合う可能性もあり、それだけでなく技術の発達によりオートメイション化された工場や、ロボットが今までの労働者に取って代わろうとしてる。

その他の業務においても、外国人労働者の枠が広がっていることを考えると、どのような業界においても、日本人の労働者は安泰であるとは考えない方が良いだろう。グローバル化の進展により、語学スキルはこれからますます重視されるようになるに違いない。当たり前の事ではあるが、外国人労働者は、少なくとも2カ国語は話すことができるバイリンガルである。賃金、スキル、そして今後は学歴や上昇志向のマインドの面で、我々日本人は、優秀な外国人人材と競争することが求められるようになるのである。将来のグローバル社会に順応すべく、自分のスキルを磨く必要が、我々、日本人には今まで以上に重要になっているのである。

出典
厚生労働省:外国人雇用状況の届出状況(平成24年10月末現在)

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