日本企業の外国人雇用への取り組みと現状
大学生の就職難が深刻化する一方で、外国人採用を増やす企業が増加している。パナソニックは2011年度の新卒採用のうち約8割、1100人程度の外国人採用を行った。またジュアル衣料「ユニクロ」を展開するファーストリテイリングは、2012年には新卒の約8割に当たる1050人の外国人の採用を行っている。
日本企業が外国人採用を進める理由は、すでに国内市場では成長が見込めず、アジアや新興国で事業を強化しているからである。こうした背景ゆえに企業はグローバル化に向けた対策を、重要課題として行っているが、それとともに必然的に外国人採用は確実に加速するものと考えられる。こうなると日本の大学生は就職難に加えて、海外の学生とも競いながら就職戦線で戦わなければならなくなり、前途はますます厳しくなってきている。
報道からも、日本企業が外国人採用に積極的であることがわかる。
ソニー、新卒採用の30%を外国人に アジアから採用拡大(ヤフーニュースより抜粋)ソニーが2010年に採用する新卒者のうち30%を外国人にすることが20日、分かった。 国際的な競争が激しくなる中で、国籍を問わずに優秀な人材を採用することにした。 これまで中国とインドの大学から採用してきたが、理工系を中心にインドネシア、 ベトナムの学生も採用を始める。大学生の就職内定率が過去最低に落ち込む中、日本人の学生にとっては一段と門戸が狭まる可能性がある。
11年の新卒採用は約250人で、このうち外国人は35人と全体の14%を占める。 12年も全体では同程度の採用人数となる見通しだが外国人の割合は拡大。 さらに13年の外国人比率は11年の2倍まで高める。 ソニーはグループ全体では約7割が外国人。ただ、日本のソニー本社では外国人は200人程度、1~2%ほどにとどまっている。
日本で働く外国人3倍東芝、14年度に1000人(2011.11.16日刊工業新聞)
東芝は日本で働く事務職と技術職を合わせた外国人従業員を2014年度までに現在の約3倍の1000人規模に引き上げる。日本での留学生採用を現 状の2倍の40人、海外大学からの直接採用を3倍の100人規模に引き上げる。国内では少子高齢化が進んでおり中長期で優秀な人材の確保が難しくなる可能 性がたかい。海外展開に対応できる人材を国内外から広く集める体制を整える。外国人従業員を1000人規模に引き上げることで国内の総合の従業員総計の約2%が外国人になる。海外大学からの直接採用はフィリピンやベトナムなど東南アジアでの採用を強化する。海外現地法人からの登用も拡大する。東芝は海外での売上高を13年度に10年度比10ポイント増の65%を目指す。そのため海外事業を担うグローバル人材の育成も急務になっている。すでに国内では若手従業員を新興国に派遣する研究を実施。海外では現地の人材採用拡大や海外現地法人の幹部育成に取り組み。東芝以外の大手電機もグローバル展開を見据え、国内での外国人採用を拡大する計画だ。日立製作所は外国人採用を11年度の約30人から約75人に倍増させ、大学・高専卒の採用全体に占める外国人の割合を4%から10%に高める目標を掲げている。
このように、外国人雇用に対する日本企業の意欲は高い。日本企業が外国人採用に積極的である事には理由がある。ではその3つの理由を考えてみたい。
①アジア諸国の成長
国内市場が縮む一方、「アジア主要10カ国・地域の中間層が20年には17億人を超え、08年比2倍に膨らむ」(総合研究開発機構) あるいは平成22年版通商白書では2020年に20億人に中間層が拡大すると試算されている。今まで内需だけに目を向けていた日本企業も、国内の成長率の低迷、少子化によるマーケットの縮小により、日本市場だけに頼れなくなっているのである。そこで成長率の著しい、アジア諸国に売り上げと利益を求め始めたのである。日本企業の多くは、内需型企業であっても、もはや海外に進出しなければ生き残れないという見方をもっており、アジア圏の外国人雇用により市場の開拓を図ろうとしている。
GNPで見てもG7は縮小傾向にあるが、アジアは成長すると予想されており、近い将来には逆転すると考えられる。また人口の面からみてもG7の約5倍はアジアの人口は多く、こうした面からもアジア市場は経済成長のポテンシャルを秘めている。
②海外売上比率の急拡大
これも内需の落ち込みと連動しているが、国内よりも海外での売り上げが拡大している日本企業は増えている。例えばソニー、日産、ホンダ、TDK、任天堂は既に8 割前後が海外売上で占められている。しかもTDK、ロームは売上の半分以上が、新興国での売上である。製造部品、製造ラインで必要とされる機器を製造している会社は、おしなべて新興国での売上比率が高くなっているのがわかる。
トヨタ、ホンダ、日産等の企業も、今後は新興国の豊かさの享受とともに、さらに売上比率を伸ばしてゆくものと予想される。
任天堂は海外売り上げが、87.1%と抜群に高いのにもかかわらず、新興国での売り上げは4.4%に止まっている。ゲームという嗜好品であるので、新興国でのマーケットは、まだまだこれからであると思われるが、自動車や家電が行き渡った後に、ゲーム機器の売上も新興国で伸びる可能性は高い。
出典:榊原正幸/著 大学教授が考えた本気で「株」で一億円投資法 ダイヤモンド社
③アジア諸国の中間層の拡大
アジア諸国では、経済発展により中間所得者層が拡大しつつある。こうした海外の消費者に向けて価格を抑えた商品を現地生産する動きが、自動車、家電から食品、日用品メーカーに至るまで共通して活発化している。これに伴い、海外での研究体制を強化するほか、現地に拠点を構えてR&Aなど商品開発を進めなければならず、そのため現地の習慣に通じた外国人留学生やアジア系大学の人材確保は必要になっている。現在、そうした新興市場を開拓するために、日本企業はこぞって優秀なアジア人材の雇用に積極的である。
アジアの内需を牽引する所得層 財団法人総合研究開発機構 2010年6月
今後のアジア諸国の中間層の成長に関して、財団法人総合研究開発機構では上記のグラフのような予想をしている。
図2を見ると2030年には多少減少しているようだが、これは中間層から、高所得者層にへと成長しており、その理由で中間層が減少している。図1の高所得層と中間層を合わせたグラフでは2030年においても依然成長するという予測である。
いずれにしてもアジア諸国の成長は確実であり、収縮する日本市場に比べれば日本企業としても魅力のある市場となる事は間違ない。今はインフラ系の企業、それに続いて車、家電等のメーカー企業の進出が進むが、今後はあらゆる業種の企業がアジアに進出し、外国人雇用に積極的にならざるをえないだろう。
日本国内での外国人労働者数
既にどれくらいの外国人が日本では働いているのだろうか。平成22年国勢調査の外国人労働者数のデータを基に、どのような国籍の外国人が、どのような業種で働いているのかをグラフ化してみた。
男性外国人 15歳以上就業者数 (平成22年国勢調査データを基にグラフ化)
一概に外国人就労者といっても、国籍により、職業に偏りが見られることが一目瞭然である。例えば新興国籍の労働者の男性労働者(ペルー、ブラジル、ベトナム、タイ、フィリピン)のほとんどは生産工程従事者として雇用されていることが分かる。一方、イギリス人やアメリカ人男性のほとんどは、専門的・技術的職業従事者である。これには教育・教育補助従事者が含まれており、英語講師がかなりの割合を占めているのであるが、それでも他の新興国と比べて、圧倒的に専門的な職業で就労している。
このように国籍によって業種には偏りがある。またこのデータでは表されてはいないが地域によっても特徴が見られるのである。
また注目すべきは、中国人と、韓国人である。日本人と比べて中国人には、まだ生産工程従事者が多いが(2倍弱)、韓国人に関しては、日本人とほぼ同じような職業従事者比になっている。中国人、韓国人に関しては、他の国籍の外国人と比べて日本語レベルが高く、日本の労働社会における、あらゆる業種においても十分対応していることの現れであると考えられる。こうした日本語が堪能で優秀な外国人が、日本人にとっての雇用におけるライバルとなる可能性がある。
女性外国人 15歳以上就業者数 (平成22年国勢調査データを基にグラフ化)
外国人女性の雇用も、外国人男性の場合とほぼ同じような職業比率となっている。新興国籍の女性就労者は、生産工程従事者として就労しており、アメリカ人、イギリス人は専門的・技術的職業従事者として就労している。男性との違いは、やはり女性ということもありサービス職業従事者は多いという部分である。
韓国人女性の比率は、男性と同じく、ほぼ日本人女性の職業構成比に近いものとなっている。特に事務従事者が、他の国籍に比べて圧倒的に高く、一般的なオフィス業務においても、多くの有用な韓国人人材が就労していることがうかがえる。
現在は、男女とも日本人の職業比率はまんべんなく分かれているが、将来、現在の外国人国籍の就労者比率が示しているような偏りが生じるかもしれない。こうした偏りが生じることは、日本人の雇用状況としては好ましくない傾向である。なぜならば、それは今まで日本人が担ってきた職業が奪われて行くことを意味しているからである。実際、製造業に関しては、こうした傾向がすでに進行しており、多くの外国人就労者によって賄われている。将来、こうした状況が、他の業種においても進行する可能も十分考えられる。
企業の採用傾向
企業は経済原理の中で動いている。日本人であっても、外国人であっても優秀な人材であれば積極的に採用するという傾向が強くなっている。ましてやアジア市場に進出しなければならない日本企業であれば、アジア圏の外国人を中心とした採用傾向は一層加速されるだろう。加えて、日本人の若者の海外離れや、グローバル人材としての対応が遅れていることを考えると、日本人の就職は将来的にはますます厳しさを増してゆくものと予想される。
以下、日本企業に対する外国人採用に関するアンケート結果を示したグラフを引用する。
調査概要/上場企業約3600社に対して質問紙の郵送による調査を実施、366社より回答を得た。調査期間は2011年2月14~23日。回答は広報担当または人事担当による。特に記載のない限り、グラフはこの調査結果をもとに作成。
出典:PRESIDENT 2011年4月18日号
外国人採用を7割の日本企業が行っている。まだ外国人の比率は10%の未満の企業が89.1%と中心ではあるが、外国人採用を行っている企業数は確実に増えているので、今後はそうした企業において外国人比率が上昇するのは、そう遠い将来の話ではないだろう。
日本企業での外国人雇用は活発化するだろう。そして、今よりもっと幅の広い業種において外国人雇用は開かれるに違いない。我々日本人は、こうした流れに敏感に反応し、より価値の高い労働力の提供が可能になるようなキャリアアップを目指さなければ、グローバルはおろか、日本においても就労することが難しくなると考えておかなければならない。
出典
アジアの内需を牽引する所得層 財団法人総合研究開発機構 2010年6月
グローバル人材獲得に向けた企業の取り組み DISCO
平成22年国勢調査の外国人労働者数
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