日清カップヌードルのTVCM 「グローバリゼーション編」

最近流れている、日清カップヌードルのTVCMが面白い。

「グローバリゼーション」をテーマに作られており、英語が会社で公用語となった困惑と、外国人上司との対決が面白く描かれている。日清のCM企画意図では

これからの時代を生きていく若者たちに、「さまざまな困難に立ち向かい、乗り越えてほしい」という思いを込めた「SURVIVE!」というメッセージ。圧倒的なスケールの映像と共感をよぶ台詞で、カップヌードルらしい、楽しく、笑えて、熱くなるエンターテイメントなCMを作っていきます。

と、説明されている。

このCMにあるようなグローバリゼーションのながれは、これからの日本企業において加速され、CMのような従業員の大変さは、いわゆる「あるある」のようなものになってゆくかもしれない。実際、多くのビジネスパーソンが既にそうした立場にあることや、グローバル化の風潮で、これから大変だなぁと誰もが思っている、その思いが、共感をよび、このCMが視聴者をクスっと笑わせているのである。

ところで、「SURVIVE!」というメッセージ。今のグローバル化社会にあっては、笑えないくらいシリアスなメッセージでもある。実際に日本のビジネスでは英語が必要になってきており、グローバル人材になることがビジネスには求められている。「生き残れ!」というメッセージはグローバル化のビジネスの矢面に立たされている身であればあまり笑えないかもしれない。

さて、ここでCMの商品であるカップラーメンは、日本で生まれた商品である。日清創業者の安藤百福が1958年に世界初の即席めん「チキンラーメン」を発明し、その後1971年に世界初のカップ麺「カップヌードル」を開発した。安藤百福氏が、「キャンベル製品(アメリカの大手食品会社の製品)隣にラーメンを陳列する」と決意して、アメリカに進出したのが海外展開の始まりである。つまり、カップラーメンは外国進出のためのイノベーション商品だったのである。そのカップラーメンおよび即席麺であるが、現在、世界で年間1014億食も消費されるグローバルフードとなっている。

実際、どのような国で消費されているのか、World Instant Noodles Associationの統計データの上位10カ国のランキングを紹介する。

 

即席めんの世界総需要

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 2013年4月25日現在

即席めんの世界総需要(グラフ化)

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グラフでもわかるように、即席麺の最大消費国は中国であり、発明国の日本は3位になっている。さらに即席麺市場は、世界で年々拡大しつつあり、日清で発明された製品は、グローバルに拡大し、多くの国で受け入れられているのである。

 

CMに見る、ジャパニーズビジネスマンの変遷

最近のCMを、バブルの時期に作られたCMと比較してみると、時代により日本のビジネスマンの描かれ方の違いがあり興味深い。先ほどの日清のカップヌードルのCMでは、グローバリゼーションにもまれるビジネスマンが描かれているが、次に紹介するリゲインのCMでは、バブル期の世界を股にかけるイケイケなビジネスマンが描かれている。

バブル期の日本が世界に進出していった時代のビジネスマンが象徴的に描かれたCMになっている。歌詞は以下の様になっていて、グローバルにどんどん突き進んで活躍するジャパニーズビジネスマンが描かれている。

黄色と黒は勇気のしるし
二十四時間戦えますか
リゲイン リゲイン ぼくらのリゲイン

アタッシュケースに勇気のしるし
はるか世界で戦えますか
ビジネスマン ビジネスマン
ジャパニーズビジネスマン

有給休暇に希望を乗せて
北京 モスクワ パリ ニューヨーク
リゲイン リゲイン ぼくらのリゲイン

年収アップに希望を乗せて
カイロ ロンドン イスタンブール
ビジネスマン ビジネスマン
ジャパニーズビジネスマン

 

後半の2本は、バブル崩壊後に作られていて、今までのイケイケな感じのCMとは違う、歌詞も変更され、ボーカルも女性でトーンダウンした印象を与えるものとなっている。

この星のために
いえ、私のために
勇気のしるし

この空のための
そうよ、あなたの心に
黄色と黒は勇気のしるし

日本人ビジネスマンは、家族を顧みずに仕事に没頭することが常識であったが、これ以降のリゲインのCMでは、それとは異なる社会的な価値観の変更を感じ取った表現方法で描かれている。歌詞にも「私のために」「あなたの心に」という表現が入り、ビジネスだけでない、他の大切なことを喚起するようなものに変化しているように感じる。

バブル崩壊以降、日本は「失われた10年」「失われた20年」と呼ばれる低迷期に入り、未だそれから抜け出せていない感がある。この期間に若者の価値観は以前とは大きく転換した。若者の海外離れや、消費に対する関心の無さが言われ、「ニート」「ゆとり世代」「草食系」といった様々な若者を表す言葉も生まれた。こうした以前とは異なる価値観をもってグローバル化を進める必要があり、それが今後の日本の経済にとってはネガティブな面として取り上げられている。「失われた30年」の懸念も言われているが、グローバル化の必要性は閉塞感のある日本のビジネスにおいて、好むと好まざるに関わりなく、何らかの行動を起こさなければならないという点では、変化をもたらすのではないかと考えている。

日本人の我々は、単に「生き残る!」のではなく、むしろグローバル化するビジネス社会を「SURVIVE!」する必要がある。同時に、日本という国の経済・ビジネスという大きな枠においても「SURVIVE!」してゆかなければならない時期に差し掛かっているのだ。

CMのように新人兵としていきなり戦線に送り込まれて戦うよりは、訓練を積んで戦に臨む方が有利であることは間違いない。実はバブル期のビジネスマンは英語力がなくても、実戦からビジネスを学んでやってきた。しかし、それは現代の若者の価値観とは乖離しており、同じことを求めるのは無理であるように感じられる。しかし、そうした若者を有用な戦力とするのに、留学・インターンシップは、これからのグローバルビジネス社会においては有効な実戦訓練になる事には間違い無いだろう。

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